クライミングシューズのこと、もう少し詳しく
クライミングシューズは、スニーカーなどとはまったく違うかなり特殊なもので、クライミングジムではたいてい使用禁止です。(レンタルの展開サイズが無い等の場合を除く)
ランニングシューズやバッシュなど他スポーツ用のちゃんとしたシューズだとしても同じ。
それは安全面からの理由が一番大きいと思います。
クライミングシューズは歩くため・走るためのものではなく「岩・壁を登ること」「ホールドに乗ること」に特化しています。特に、レンタル用ではないシューズを初めて見る時・履く時にはビックリされるかもしれません。
ソール(底)は小さな突起に乗ったり壁に押し当てたりということがしやすいようなフリクションのある特殊な素材のゴムが使われ、それがトゥー(つま先)・ヒール(かかと)にも貼ってありトゥーやヒールを活用して動けるようになっています。
また、シューズ自体でギュッと足を固めるような形状をしていて(新品シューズや足が浮腫んだ時は痛いくらい!)、ホールドに足を置いた時にシューズの中で指が滑らずしっかり力が込められる形状になっています。中で滑ってしまっては登りにくいうえに危険な落下の一因になってしまいます。
クライミングシューズは決して安い買い物ではありません。ここのところの価格高騰でかなり値段も上がってしまいました。
ジムにはたいていレンタルシューズが準備されていますので、クライミング未経験の段階でシューズを買っておく必要はありません。(むしろ何も分からないまま普段のスニーカーのイメージで買うと失敗する可能性大。)
最初はレンタルシューズを使いながら様子を見て、クライミングを続けたいなと思った時には「まだ初心者だし」などと思わず、ぜひマイシューズ買うことをご検討ください。
チョークについてはまだ買われたことのない方へ「チョークのこと、もう少し詳しく」に詳しくご案内しています。よろしければご参考になさってください。
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ジムのレンタルシューズ
ジムのレンタルシューズはほとんどの場合レンタル専用モデルで、(当ジムはレンタル専用モデルです)
・初めての人でもどんな足型の人でも履きやすい型
・ソールのゴム汚れが壁に付かない
・ソールが長持ちする
ということに特化しており、普通のシューズより幅広でソールの素材が硬いものとなっています。
硬い分少し滑りやすかったり、ヒールやトゥーも掛けにくかったりします。
続けるなら買ったほうが確実に良い!
「初心者だからまだまだシューズなんて早いですよね」と言われることも少なからずありますが、初心者の方も「続けるぞ!」と心が決まったなら、マイシューズのほうが確実に上達は早くなります。
初級課題ではレンタルシューズでも性能差をあまり感じず登れますが、少しずつ課題が難しくなるにつれソールが少し滑る分レンタルシューズで登るほうが難しくなってきます。
上級者の方は逆にレンタルシューズを使っても足遣いの技術があるので登れますが、それでもソールのフリクションが弱い分は足の力を余計に使うことになってしまうこともあります。
シューズの力ではなく自分の足の技術を鍛えるという部分では良い面もありますが…限界はあります。
買う時はできるだけ試し履きを
初めて買う時はショップなどで相談して、できればちゃんと試着をして買われることをおすすめします。ショップが近くに無くネットで買わざるを得ない場合は、サイズ感を相談できたり合わなかった場合に交換ができるところなどを探すのがベストです。
(下記「【ネットでの購入について ご注意ください】」もご一読ください)
それは、クライミングシューズはメーカーやモデルによりサイズ感や履き感が一定ではなく、自分の足に合うものをある程度探る必要があるから。
普段のスニーカーのサイズとは違うことがほとんどです。
ちなみに当店では年に数回「MADROCK」シューズの試し履き会を行っています。様々なモデル・サイズ・履き感を確かめることのできる機会ですので、タイミングが合えばぜひご利用ください。
※下記、十分ご注意ください!せっかく買ったのにまだレンタルのほうが良いものだったという事態もあり得ます。
【ネットでの購入について ご注意ください】
ネットで「ボルダリング シューズ」等で検索するとウォーターシューズやトレッキングシューズ等クライミングシューズではない商品がヒットする場合があるようです。(メルカリやアマゾン等でもよく見かけます)
もし購入されたものがクライミングシューズではなかった場合、当ジムでは安全面から使っていただくことができませんのでご注意ください。
またクライミングシューズの形でも模倣品が多く出回っています。(アマゾン・楽天でも多く見られ価格が1万円以上する模倣品もあります。)その場合は必ずしも使用不可ということはありませんが、ソールの材質的にむしろ滑りやすく登りにくくなってしまうこともあり得ますので、お気を付けください。サイズ表記が明らかにおかしいものも複数見受けられます。
ご心配な場合は商品画像を見せていただければ判断できると思います。
初めてのシューズ、どう選んだら良い?
初めてシューズを買われる時、当ジムでは下記のような点をお話しさせていただいています。
①つま先にしっかり指があること
普通の靴を買う時には少し余裕のあるサイズを選ばれる方もあると思いますが、クライミングシューズは足先に余裕があるといけません。つま先に指の無い状態で小さなホールドに乗ると滑ってしまって登れません。またシューズの中で指が動いてしまうほど余裕があると、ホールドに乗りながら不意に滑ってしまうことに繋がるため安全面でも良くありません。
痛すぎなければ指先が曲がっている状態で良いくらいです。
②かといって痛すぎるほど小さくないこと
昔は「攻める!」ということで意図的に小さなサイズを選び、痛さに耐えながら時間をかけてシューズを足に合わせていた…ということもありましたが、最近ではシューズの性能が上がりそこまでサイズを攻める必要はないと言われています。(もちろん今も好みで攻めサイズにされる方もあります)
特にファーストシューズの場合はあまりに痛くて少しも履いていられないような状態ではホールドを踏むのも痛く、モチベーションも下がってしまいます。
ただし、新品時はまだゴムも硬く自分の足型に合っていないのでどうしても痛いことはありますが、使っているうちにゴムが伸びたり形が足に合ってきて「自分のシューズ」となっていきます。
③最初はソール(底)の形状がフラットなものが履きやすくておすすめです
クライミングシューズは、ソールがフラットなものとつま先が鍵のように下向きに下がって小さなホールドに乗りやすい「ダウントゥー」といわれる形状があります。ちなみに初心者の方にオススメのエントリーモデルのシューズはたいていフラットです。
エントリーモデルのシューズは、
・ハイエンドモデルと比べてお手頃価格(1.5万~2万円くらい)
・履きやすいフラットなソール(履き慣れていないとダウントゥーは足が攣ったりして履きにくい)
・スメア(壁を踏むこと)がしやすく、シューズの性能に頼らず自分の足の力でしっかりホールドを踏めるようになる
というような点からおすすめしています。
ただ、エントリーシューズだから・フラットだからといって足に合わないのであれば逆効果ですし、ダウントゥーのほうが自分にしっくりくるということもあると思います。
結局は経験期間の長短よりも自分が履いてしっくりくるということが何より一番大事!
ぜひ機会があればいろいろ履いてみてください。