チョークのこと、もう少し詳しく
チョークというのは手の滑り止めで、絶対に使わないといけないものではありません。
あくまで使用はお好みにより任意で、ということになります。
「初心者だからまだ必要ないかな、もう少し上手くなってからで…」と言われる方もありますが、使ったほうが登りやすいなら、経験期間は関係なく使うと良いと思います。
シューズと違い、「初心者におすすめのタイプ」なども特にありません。考慮するのは手汗の出具合や使い心地だけです。
チョークを付けていることで、トライする時に「滑らない、大丈夫!」という安心にも繋がります。
チョークは、ジムによっては「液体のみ可」「ロジン(松やに)入りは不可」「チョークボール必須」など使用条件のあるところもありますので、ジムに行かれる前には下調べされたほうが安心です。
ちなみに当ジムは、クライミング用チョークであれば特に使用条件はありません。適正に使っていただければ大丈夫です。
目次
チョークを使うのはなぜ?
壁に付いているホールドは、持ちやすい形状・角度のものばかりではありません。まーるい半球状のものや、こんなのどうやって持つの!?みたいなものもあります。
手のひら全体や指のフリクション(摩擦力)を駆使して持つ場面などで威力を発揮するのがチョークです。
・滑り手…汗かき・緊張からの多汗のせいで滑ってしまう
・乾き手…汗が出ず乾燥しすぎているためフリクションが無く滑ってしまう
ざっくり分けると、手汗具合でそれぞれこのように分かれますが、その滑ってしまうのを少し改善してくれます。
混合状態の方もありますので、自分に合うものを探して、複数のチョークをブレンドして使う人もあります。
チョークの主成分は主に炭酸マグネシウム。
商品によってそこに添加される素材が違い、
・滑り手用…吸水性に優れる・指紋の中までしっかり付くことで持続性がある 等
・乾き手用…適度な水分保持や増粘剤によりフリクションが生まれる 等
というように、さまざまな効果のものがあります。
チョークの種類
チョークはざっくり2種類、「液体チョーク」と「粉チョーク」があります。
(チャンクチョーク・ブロックチョークのように粉が固体になったものがありますが、そちらの説明は割愛します。)
①液体チョーク
上級者の方は液体チョークを粉チョークのベースとして使うことが多いですが、チョークバッグなどを揃える必要が無く、小さめの容器に入った液体チョークだけで使えて手軽なため、試しに初めて買われる方にも人気があります。
当ジムではレンタルチョークに液体タイプを使っているため、液体は初心者用だと誤解されがちですが、前述のようにチョークに初心者用というものはありません。
あくまで手汗の状況によりけり、です。
またジムによっては粉の飛散を防ぐため粉チョーク禁止のところもあり、普段は粉チョーク使いの方でも、ジム遠征される場合は一本持っておいて無駄にはならないと思います。
滑り手の方用にアルコール濃度の高いもの、乾き手の方用に増粘剤の入ったもの、ベーシックタイプ、というように様々な種類があります。
単体で使う場合は、手軽さは液体タイプに軍配が上がりますが、チョークバッグなどを除けばコスパは粉タイプのほうに軍配が上がりますし、粉チョークのほうが種類も多く、大半の方が粉チョーク派です。
また、手荒れ体質の方にはアルコールの含まれる液体タイプは少し刺激が強くなるため、添加物の少ないベーシックな粉チョークを選ばれると、少しマシだと思います。
※フリクションを出すため松ヤニ=ロジンの入っているものもありますが、岩場でもジムでも禁止されているところもあります。当ジムは使用を禁止はしていませんが、店頭で販売している商品はすべてロジンフリーの商品です。
②粉チョーク
ジムで禁止されていなければ、単体で使う場合は、コスパの関係もあり粉チョークのほうが使用割合は圧倒的に高いです。
チョークバッグに少しずつ入れ、バッグの中に手を入れ粉をつけて使います。その時にチョークボール(※)といわれる手でニギニギするボールを入れておくと、粉の飛散や付け過ぎを防げて便利です。(飛散防止のためチョークボール必須のジムもあります)
選手の方が手をパーーーン!としているのはかっこいいですし、滑りたくないがあまりにたくさん付けたくなります。
が、ジムにたくさん粉が飛散するとエアコン等の故障にも繋がり、また付け過ぎはかえって滑ることもあります。マナーとしてもチョークの性能を活かす点でも、適正量の使用にご協力ください。
粉チョークも、乾き手用・滑り手用・ベーシックタイプなどいろいろな種類があり、使い心地の良いものを探ってみてください。
※チョークボール
「粉チョークをまとわせて使う中に何も入っていないタイプ」と、「袋状になった布の中に粉チョークが入ったタイプ」の2種類あります。
前者は販売商品もありますし(当ジムでも扱っています)、粉がまとわりついて握れればスポンジのような何かを代用しても問題ないと思います。
後者は、いわゆる野球のロジンバッグのように袋の中から粉チョークが出てくるタイプ。
もちろんチョークバッグの中に入れて粉チョークをまとわせるのも有りだし、単体で使うのも有りです。携帯性も良いので、初めて買われる方にもおすすめしています。
チョークバッグについて
チョークを入れて手に付けるためのバッグには、2種類の形状があります。
①置き型タイプ
屋内ジムでボルダリングのみされる方には、これが一番使いやすいと思います。
粉と、できればチョークボールを入れて使います。保管中にバッグから粉が出てこず、使い終わりは口をクルクル巻いてしまえるようになっています。
マット外に置いておいて両手を入れて粉を付け、1トライ中に付け直しをしないタイプです。
ただしリードクライミングをされる方や、ボルダリングでも極端に手汗が出てトライの途中でも付け直しをしたい方、長物をされる途中で付け直しをしたい場合などは、下記の腰型バックを使われることも。
課題により置き型と腰型を使い分けられる方も多くあります。
②腰型タイプ
リードクライミングをされる方は必須となります。
また置き型に比べてリーズナブルなため、ボルダリングでも特にお子様など手の小さい方は、置き型のかわりにこちらを使われる場合もあります。
こちらも粉を入れ、できれば小さめのチョークボールを入れて使います。使い終わりは巾着方式など口が絞れ、粉がこぼれないようになっています。
紐や専用ベルトで腰に付けられるようになっており、トライ中はお尻側の両手ともそれぞれ入れられる位置にぶら下げて、片手ずつ入れてチョークを付けます。
粉が縫い目や口から出てきてしまうような一重の巾着袋やバッグでは代用できませんが、そういうことが無く使い終わりに口が締められれば、他のもので代用することも可能です。
チョーク以外に、滑り防止に大事なこと
滑るのを防止するのはチョークだけではありません。
チョークを必要以上に付け過ぎることは、逆に滑ることに繋がることもあります。
始めたばかりの方には意外かもしれませんが、実はホールドにブラシをかけることも、滑り止めとして大いに威力を発揮します。
皆さんがブラシでゴシゴシしているのは、以下のような意味合いがあります。
①トライ中に滑らないために、ホールドにブラシをかけフリクションを高める
ホールドに堆積したチョークは、実は逆に滑る要因になってしまいます。
チョークは「滑り止め」と言いながら、実は汗を吸収したり飛ばしたりするためのもの。ホールドについていたらホールドが滑りにくくなるものではありません。
大事な一手では、登る前にぜひブラシ掛けをしてみてください。まったく違いますよ!
②マナーとして、ホールドにチョークをたくさん付けてしまった時にはブラシをかける
屋内ジムでは、毎回トライのたびに全部ブラシ掛けすることまでは必要ありませんが、ホールドにチョークを付け過ぎてしまったときや手汗・脂がたくさんついてしまった時などは、後に登る方のためにブラシ掛けにご協力いただけると幸いです。
ちなみに外岩では、ブラシを使い、チョークをできる限り残さず掃除をして帰ることが必須マナーです。
滑るからとチョークを手にたくさんつけるのではなく、ぜひブラシも併用してみてくださいね。